産業界におけるカーボンニュートラル研究会
大阪科学技術センターでは、2020年10月菅首相による宣言以降、日本の企業活動においてもその重要性が急速に増してきたカーボンニュートラルに正しく向き合っていくために、CO₂削減の延長線上ではなく、真のカーボンニュートラルシステムを実現するための技術について、業界横断で課題を共有、対策を議論する研究会を2022年2月に設立しました。まずは、2024年度末までに、カーボンニュートラルをどう捉えればよいのか、日本としてどういう方向性に向かうのかについて、一定の共通認識が得られることを目指して、活動を行っていきます。
日 時 2023年10月5日(木) 14:00~17:30
場 所 大阪科学技術センター401号室 および オンライン(Zoom)開催
プログラム
講演①「製紙産業のカーボンニュートラルに向けた取組み」
日本製紙連合会 常務理事 河崎 雅行 氏
講演②「サントリーのカーボンニュートラルに向けた取り組み」
サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進本部
サステナビリティ推進部 部長 西脇 義記 氏
講演③「エフピコ方式のリサイクル ~トレーtoトレー ボトルto透明容器~」
株式会社エフピコ サステナビリティ推進室 コミュニケーション推進課
チーフマネージャー 新矢 恭三 氏
総合討議
交流会(立食形式)
※現時点では、講師は全員来場予定です。
※以下会員ページよりお申込みください(会員限定です)。
日 時 : 2023年10月24日(火) 13:00~17:30
場 所 : 講演会:大阪科学技術センター8F 大ホール および オンライン(Zoom)開催
ポスター発表:大阪科学技術センター8F 小ホール および オンライン展示(会員ページ)
プログラム
講演① 「パナソニックのカーボンニュートラルの取組(Panasonic GREEN IMPACT)」
パナソニックHD(株)プラットホーム本部 GX戦略推進室長 徳永 亮平 氏
講演② 「カーボンニュートラルへのIT技術活用の動向とNTTグループの取り組み」
(株)NTTデータ テレコム・ユーティリティ事業本部ユーティリティ事業部
グリーンエネルギービジネス推進室 ビジネス戦略推進担当 課長代理 永山 誠 氏
会員によるポスター発表
総合討議
交流会(立食形式)
※現時点では、講師は全員来場予定です。
※以下会員ページよりお申込みください(会員限定です)。
・講演② (株)NTTデータ テレコム・ユーティリティ事業本部ユーティリティ事業部
グリーンエネルギービジネス推進室 ビジネス戦略推進担当 課長代理 永山 誠 氏
・会員によるポスター発表
※現時点では、講師は全員来場予定です。
※ポスター発表の募集を開始しました(会員限定です)。
2020年10月の菅首相による2050年カーボンニュートラル宣言により、日本においても低炭素から脱炭素へ舵が切られました。2050年に本当にカーボンニュートラルが実現できるかどうかは別として、人類としてはもはや不可避の課題となっています。
近年のESG投資の流れから、カーボンニュートラルに関しても、積極的な取組み姿勢が投資家から要求されており、カーボンニュートラルを宣言されている企業も多くみられます。ただ、すでに公表されているそれらの多くは、自社の事業活動の中でのGHGの排出をネットでゼロを目指すというもの(スコープ1 or 1 + 2)です。しかし、昨今の製造業においては、上流から廃棄までの製品のライフサイクルでの適合が求められ、これは、個社で責任の持てる範囲を超えていると言えますが、地球温暖化防止という本来の目的を達成する上では必要不可欠です。一方で、カーボンニュートラル宣言という言葉のせいか、何らかの定義のもと、企業などの単位でCO2排出量ネットゼロ(カーボンニュートラル)を達成することをコミットすることが必要条件のように思われがちですが、企業として地球全体のカーボンニュートラルを目指して企業活動を適合させていくこととは必ずしも同一ではありません。特に、各社が個別にスコープ3を含めたネットゼロを実現することは、必要でないばかりか、地球全体のカーボンニュートラルの達成に必要以上の余分なエネルギーを浪費し、全体最適の観点からは本末転倒の結果を招くことになりかねません。これらの状況の中で、本当に地球全体のカーボンニュートラルに適合した事業に変えていくには、自社の事業活動の範囲外でGHG排出の挙動を踏まえたうえで、それを抑制するためにはどのような方策があるのかまで踏み込んで検討し、全体最適のカーボンニュートラルシステムを想定した上で、自社の事業活動に落とし込む必要があります。このような活動は、個社単独で進められるものではなく、業界を横断した知識や知恵を共有化し、人類共通の課題解決に向けた率直な議論を積み重ねていくことが必要であると考えます。
大阪科学技術センター(OSTEC)では、産学官の連携の下、業界横断のこうした取組みに相応しい場を提供できるのではないかと考え、2022年2月に、本研究会を設立しました。
最終的なカーボンニュートラル社会を実現できるカーボンニュートラルシステムとはどういうものか、それを成立させるための技術オプションは何かを、業界を越えた知見の集約と率直な議論により、明確化・共有することにより、一社では対応できない対策立案に資することを主たる目的とします。
また、課題解決に向けた長期的な技術開発の促進につなげられるよう、業界を超えた技術者人脈を形成することも目的とします。
さらに、製造業を中心とした産業セクターにおいて、製品ライフサイクルを踏まえた、カーボンニュートラルの成立を総合的にとらえ、業界横断でその課題解決を加速することにより、関西および日本の産業の競争力を高め、持続可能な産業の発展につなげていくことを最終目的とします。
※結合型ライフサイクルシステムズ(超システムの例)
要素システム(各製品のライフサイクルシステム)は独立して運用・管理がなされるが、システム間の相互作用は、要素システムでは意図していなかった形で進化・発展していくため、超システム全体の動きを予測し、最適化することは困難である。
小林英樹著「持続可能システムデザイン学」共立出版 (2022) p.248 図8.1より
従って、最適システムの想定 → 構成要素の仕様決定 → R&D課題への落し込みという、通常のR&D計画手法は適用困難ということになります。
そこで、カーボンニュートラルシステム全体における相互作用を意識しつつ、要素システム毎に、最も合理的な最適解を探るしかありませんが、各要素システムごとの進捗にはばらつきが予想され、超システムにおける相互作用も変化するため、ゴールは単一ではなく、ローリングしながら前進させていく必要があります。従って、最終的なゴールは、会員が求める達成度に応じて会員ごとに異なることになると思われ、研究会として統一的な具体的達成度とその時期目標を設定するのは困難です。
2.中間目標とその達成に向けた計画
上記のような状況が避けられない一方で、会員の皆様の多くは、できるだけ早い時期に、「カーボンニュートラルをどう捉えればよいのか、日本としてどういう方向性に向かうのかについて、腹に落ちる一定程度の理解を得ること」を求められており、これを2024年度末までに達成することを当面の中間目標として設定しました。
2022年度は、今後どのように展開していくか予測困難なカーボンニュートラルをテーマとするため、まずは情報共有からとにかく始めるということでスタートを切りました。これまで研究会を進めてきた中で、カーボンニュートラルの全体像をとらえるためには、専門外の非常に幅広い分野の知識が必要となることが改めて認識されており、会員間で議論がかみ合っていくためには、一通りの知識の習得と一定の理解レベルへの到達が必要であると考えられます。
そこで、2023年度は、日本版カーボンニュートラルシステムを考える上で必要となる、技術面以外も含めた基礎知識を習得して会員が同じ土俵で議論できる状態を目指します。
そして、2024年度に、具体的な環境条件と重要技術の議論を通じて、日本の進むべき方向性とカーボンニュートラルシステムをイメージできる中間目標の達成(2024年度末)を目指していきます。
本研究会は、大阪科学技術センター技術開発委員会の下に設置され、会長の指導の下、幹事会が具体的な運営を立案します。
<2023年度運営体制>
会長 小林英樹 大阪大学大学院工学研究科 機械工学専攻 教授
http://www-ssd.mech.eng.osaka-u.ac.jp/index.html
幹事 住友電気工業(幹事長)
地球環境産業技術研究機構、産業技術総合研究所、
大阪ガス、大林組、関西電力、ダイキン工業、大和ハウス工業、日立造船、三菱電機
(今後、研究会に積極的にご参加いただける企業・研究機関に加入していただく可能性があります。)
事務局 大阪科学技術センター 技術振興部
(人数制限のあるイベント以外は何人でも参加可、飲食費・旅費等は別途徴収)
グループワークの参加費も含まれます。
会員リスト
旭化成株式会社
NTN株式会社
ENEOS株式会社
大阪ガス株式会社
大阪ガスケミカル株式会社
株式会社大林組
川崎重工業株式会社
関西電力株式会社
株式会社関電エネルギーソリューション
株式会社クボタ
株式会社栗本鐵工所
株式会社KRI
株式会社神戸製鋼所
堺化学工業株式会社
株式会社島津製作所
住友精化株式会社
住友電気工業株式会社
積水化学工業株式会社
ダイキン工業株式会社
大和ハウス工業株式会社
株式会社竹中工務店
TOYO TIRE株式会社
東洋紡株式会社
トヨタ自動車株式会社
中尾フイルター工業株式会社
日本マイクロソフト株式会社
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
パイオニア株式会社
パナソニック ホールディングス株式会社
日立造船株式会社
株式会社堀場製作所
三菱電機株式会社
村田機械株式会社